嫌味にならない「ダメ出し」コトバ

さて、前回に引き続き「デキる営業マンが他社のダメ出しを本当にしないの?」という話です。

今回は、実際の事例をあげて見ていきたいと思います。

それでは、仮にお客さまがファミリーで来店されたとして、ミニバンを検討していてライバルモデルのことを聞かれたとします。

あなたの答えかたの例としては…

「先日、その◯◯に乗った時の私の感想としては、正直、加速とコーナリング性能はあちらの方が上ですね。

とても気持ち良くキビキビ走ります。

スポーティーな走りに振ったことで、乗り心地はちょっと固めの味付けでしたけどね。

だからご主人が走りを求めるなら◯◯の方が楽しめるでしょう。

反対に「乗り心地の優しさ」ということでしたらこちらの方がご家族のウケはイイと思います。

一応、こちらのもスポーツモードをオンにして使えば◯◯の走りに結構近づくことは出来ると思います。

あと収納についてはこちらのほうがズバリいいですね。」

これはあくまでも一例ですが、ここでのポイントはライバルの優位性を褒めながらも、乗り心地が「固めの味付け」という表現を使ったところです。

「意見」ではなく「状態」を伝えろ!

「固いから疲れる」とか「固いから頭が痛くなりそう」とか、あなたの意見を言ってはいけません。

これこそがお客さんに批判と捉えられて嫌がられる原因になります。

「固い」という「状態」を表すコトバだけで良いのです。

後はお客さんが勝手に想像を膨らませていきます。

もちろんラーメンにもかた麺が好きな人がいるように、乗り心地が固い方を好まれる人もいます。

コテコテのスポーツカーならば、固めの足回りを好むかたも多いでしょう。

状況によっては逆に「柔らかめ」、とか「フワっとした乗り心地」というコトバが有効になる場合もあります。

ライバル車と戦う前に調べておくべき4つのこと

お客さんの問いかけに、瞬時に反応できるのであれば問題ないですが、次の項目を考えられるだけ書き出して準備しておくと良いでしょう。

①あなたの取り扱うクルマとライバル車とを比較した場合のスペック上の長所と短所(加速性能、燃費、最小回転半径、クルマのサイズ、装備など)

②あなたの取り扱うクルマとライバル車とを比較した場合の感覚的な違い(乗り心地、座り心地、運転しやすさ、静寂性、見切りの良さ、音響など)

③お客さんのタイプ(男性、女性、ファミリー、夫婦、若者、年配者など)によって評価が分かれるポイントと優先順位

④ライバル車が劣勢になる箇所の嫌味にならないダメ出し寸止めワード(固い、柔らかい、幅がある、音が賑やか、ジワっとした加速 など)

もちろんライバル車の試乗などもしてリサーチをすればするほど、あなたは確実に優位なポジションを築くことができます。

「孫子の兵法」に学ぶべきこと

ここで中国の春秋時代の兵法家である孫子のコトバを紹介します。戦の前に競合のことを知っておくことの重要性が説かれたコトバです。

「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し」

つまり…

敵のことを知り、自分のことも知っていれば、百戦しても負けることはない。

敵を知らずに、自分のことしか知らなければ勝ったり、負けたりする。

敵のことも自分のことも知らなければ、戦うたびに必ず負ける。

その努力を惜しまないことです。

ライバル車の細かいところを調べ上げることで、あなたのクルマのイイところにもたくさん気づきます。

カタログでは読み取れない、あなた独自の情報やストーリーが何よりもお客さんにインパクトを与えるのです。

そして相手を知ろうとして調べたそのリアルな体験があなたの自信に繋がります。

その自信はお客さんへの説得力に繋がります。

ライバル車に差をつけ、あなたのクルマに傾倒してもらう4つのプロセス

まとめると、あからさまなダメ出しはやはりNGです。言葉じりにに配慮が無いと一発でアウトです。

営業マンの成績のため、お店の売り上げのため、という売り手都合の言動が見え隠れるするとお客さんは警戒し、買い気が冷めてしまいます。

でもお客さんがあなたを信頼し、本音でアドバイスを求めてきているのであれば、あなたは率直にどう感じたかをお客さんに伝えなければなりません。

今、お客さんにとって、あなたの発言が何よりも参考になるのです。ただし本音は本音でもちょっとプロセスに気を配りましょう。

まず、

①相手の明らかに優れているところを1、2つ褒める(多過ぎは禁物)※「こちらのココが劣っている」とは言わない

②相手の明らかに劣っているところを「嫌味に感じないダメ出し寸止めワード」を使って1つ言う(多過ぎは禁物)

③こちらの絶対的に優れているとあなたが信じているところを2、3つ言う(情熱的に)

④〜したいならライバル車、〜したいなら私の勧めるクルマ、とアドバイスする(それまでのお客さんの話から注意深く判断すること。お客さんがファミリーで使いたいと考えているのに、「ファミリーならライバル車がオススメ」とは言わない)

ライバル車批判の裏技!?

ちなみに②については、例えば「ハンドリングは素晴らしいですが、ちょっと加速が◯×&%#=… イヤイヤなんでもないです〜」と言葉じりをごまかして、お客さんの興味を引くというちょっと手の込んだ作戦もあります。

お客さんはあなたのハッキリしない態度を見て「なになに?加速がどういうこと?ちょっとくわしく教えてよ」となります。

その場で本音(ダメだし)を話すかどうかは、あなたへの信用度によるので判断が難しいですが、「イヤイヤ、ホントに何でもないですよ、ハハハ」と逃げれば、お客さんはだいたい察してくれます。

「ハハーん、◯◯は加速に難アリなんだ」と。「彼は口を滑らせかけて、あえて批判を避けたな」と。

こうしておけば、あなたにイヤな感情を持たれることはめったにないでしょう。

他車批判より大切なこと…

さて、いろいろとライバル車のダメだしの是非について話してきましたが、やはりとてもナイーブで綱渡り的な危うさがあるのも事実です。

功を奏する場合もあれば、その逆もまたアリで、自信がない場合はやはり他車批判は避けたほうが賢明でしょう。

重要なのは、お客さんの信頼を得るために、ライバル車のリサーチやあなたのクルマのリサーチを徹底的にやって、お客さんのどんな変化にも適切な提案ができる対応力を身につけることです。

「ライバル車批判」という手法を使わなくてもいいように、「あなたから買いたい!」と言われるように、あなたの魅力を高める行動をしていきましょう。

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