屋根がないだけでカッコイイ!乗っている人がカッコイイ!

私の住む家の近くに「ブルーブリッジ」と呼ばれる、その名のごとく青色に塗られた橋がある。

三河湾に面した小さな漁港をまたぐようにかけられたこの橋からは、沖合に三河大島、

遠くに渥美半島を望み、視線をを東から北の方向にずらしていくと、蒲郡観光の名物である竹島、

そして五井山から三ヶ根山へと連なる山々が一望できる。

最近はその漁港に小ぶりのヨットなんかも停泊していたりするので、ちょっとしたリゾート地の

ような風情だ。

夕方になると多くの人がウォーキングやジョギングを楽しんでいて、町の憩いの場所にもなっている。

 

私は通勤に毎日この橋を使っているのだが、先日この橋をマツダの新型ロードスターが幌を開けて、

温泉街の方向へ走って行った。

かっこいい!

この前もポルシェ356の話をしたが、やっぱりオープンカーはいい。

オープンになっていること自体が、すでにスポーティーだ。

最近のオープンカーは、オープンにしてない時はクーペボディのようなハードトップに

なりすましてしまうモデルも多いので、オープンカーと気付かないくらいだ。

でも、オープンカーはオープンカーとして割り切ってしまっているモデルが好きだ。

わざわざ複雑な開閉システムになっていなくても、マニュアル式の幌で十分。

なぜなら、それを乗る人の潔さがカッコイイのだから。

ちょっと面倒くさいくらいがちょうどいい。

オープンカーは雨の日に乗れ?

それに幌という素材が、他のクルマとは異なる特別感を生み出している。

誰もがクルマは無機質な金属のボディーというイメージしかないところに、キャンバス生地の

幌をまとっているという佇まいがカッコイイのだ。

それは、まるでクルマがジャケットを羽織ってオシャレを楽しんでいるかのように感じる。

いろんなカラーバリエーションや柄があっても、個性的で楽しいと思うのは私だけだろうか?

色あせとか耐久性とかの問題はあるかもしれないが、現代の技術なら可能ではないかと思う。

昨年、亡くなられた自動車評論家の巨匠「徳大寺有恒」さんの何かの本で読んだ記憶があるが、

「オープンカーは雨の日がいい」と書かれていた。

え!?、雨の日にオープンカー? と思ってよく読むと、

雨に打たれた幌がしっとりと濡れて、幌の色合いがさらに深くなる風情がいい、と言うのだ。

なるほど!そんな見方があったかと腑に落ちた。

貴婦人はオープンがお好き。

確かにオープンカーほどスタイルの変化を楽しめるクルマはない。

トップを開けた時の、幌をジャバラ状にたたんだ様子などは、もう映画でしか知ることのない馬車を連想する。

そんな馬車には、たいてい優雅なドレスで着飾った貴族の女性がすまし顔で乗っている。

そんな絵を想像してしまう。

だからオープンカーはやはりオープンにした時が一番エレガントだと思う。

私のカーライフを変えたクルマ

私のオープンカー歴は2台あって、そのうちの1台はホンダ「S660」の前身である「ビート」だ。

ビートは、軽のミッドシップオープンスポーツというパッケージがとんでもなく魅力的で、

当時ホンダのトップレンジだった「NSX」のセカンドカーモデルのような存在だった。

世界的に見ても、このサイズでこのパッケージを実現しているクルマは見たことがなく、

当時、勤めていた会社の関係でイギリスからエンジニアが来日した時に目を丸くして、

「いったいこれは何てクルマだ?」と質問攻めにあったことを覚えている。

ビートは輸出されていなかったので、外人さんには凄くうけた。

エンジンが背中の後ろにあるので、幌を閉めているとエンジン音が盛大に室内にこもってしまうのだが、

幌を開けたとたんに心地よいサウンドに様変わりする。

決して速いクルマではなかったが、だからこそ街中でも最高回転数の8500rpmまでエンジンを回して、

全力走行が楽しめた。

私にとっては、本当の意味でクルマの楽しさを教えてくれたクルマだ。

単に走る、曲がる、止まるとか、加速がどうとか、0-100km/hが何秒、などといった評価の仕方が

なんとなく色あせて感じられて、もっと違う角度からクルマを見れるようになった気がする。

でも、何にもまして自動車の違った世界を感じられた理由は、オープンエアーを体験できたことだ。

屋根の向こう側にあった世界

閉ざされた空間から屋根がなくなっただけで、まったく別次元の世界がそこにあるのだ。

例えば、「静寂性」。

この評価軸は、幌を開けた瞬間から意味をなさなくなる。

誰も静けさなんて気にならなくなるからだ。

別の言い方をすれば、人は期待値が0になれば批判は生まれなくなる。

私はバイクにも乗るが、開放感という意味ではオープンカーの方が一枚上手だと思う。

確かに風を全身で受けて外気に体が直接触れるるという意味ではバイクが勝るが、ヘルメットを

被ったりすると、何だか視界が遮られる感じがして開放感が損なわれる。

それに常にバイクを体でホールドして、ほとんど同じ姿勢を強いられるので体の自由度という意味でも

オープンカーの方が、身軽で束縛された感じがない。

(バイクはもっとスポーツ的なアクティブさを楽しむ乗り物だと思う。)

屋根がなくなると、街や野山の空気と直接繋がっている感じがいい。

特に今までそれほど意識することのなかった「音」と「匂い」の情報がたくさん入ってくることに気ずく。

野山に行けば、鳥のさえずりや木々のざわめきに心が洗われ、

街に出れば「ああ、ここのウチの夕食はサンマだ」、と腹が減ってくる。

五感が刺激されるのだ。

もう少し運転していたいという気にさせてくれる。

運転が楽しくなってくるのだ。

幼い頃、親に連れられて公園で乗ったゴーカートのワクワク感に近い感覚が、違った形でよみがえってくる。

自動車営業のあなたにお願いしたいことがあります。

私は、クルマ好きの端くれとして、やはりクルマを扱っている営業の方にその楽しさをお客さんに伝えて欲しいと願っている。

今や時代がクルマに求めていることが「エコロジー」や「安全性」であることも理解できる。

けれど、これらのメッセージは今までのブログでも書いているように「損をしたくない」

「今の状態/環境を失いたくない」という恐れや、イライラから逃れたい!という

負のモチベーションを換気するコトバだ。

「楽しさ」、「希望」、「色気」、「ロマンス」といった快楽を追求するコトバではない。

今のスマホが爆発的に普及したのも、人々がそこに「ライフスタイルが楽しく、便利になるかも

しれない」という

「希望」を感じたからに他ならない。

でも、マーケットが成熟してくると、なかなか新しい夢を想像することが難しくなってくるのも事実だ。

今、自動車メーカーも新たなイノヴェーションを模索している。

昨日のニュースでトヨタが「空飛ぶクルマ」の翼の特許を出願したというニュースが話題になった。

自動運転の技術も実用化のメドがつきつつある。

近い将来、人の移動というモバイルに大きなパラダイムシフトがおきるかもしれない。

あのアップルがその動きに対して優秀な人材をヘッドハンティングしているとも伝えられている。

いずれにしても、お客さんに「クルマって素晴らしいんだ!」という楽しいメッセージを発信して欲しい。

オープンカーに乗ろう!

オープンカーに乗ると、馬車から自動車へ移行していったモビリティ初のパラダイムシフトが

起きた頃の人々の「希望」や、新しい時代への期待感を想像させてくれると言ったら

言い過ぎだろうか?

でも、根源的な運転の楽しさを教えてくれることは間違いない。

だからオープンカーに乗ろう!

その体験は、あなたのクルマに対する考え方、見方に何かしらの影響を及ぼす。

それは必ずあなたのセールストークの幅を広げ、お客さんに「希望」を与える糧(かて)になると

信じている。

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