世界5大モーターショーの1つ「東京モーターショー」

来月末の10月29日から11月8日までの日程で第44回東京モーターショーが東京ビッグサイトで

開催される。

1954年の第1回から60年以上を数える歴史ある見本市だ。
(オイルショック以後の1975年からは2年に1度の開催になった)

今でこそ中国の上海モーターショーがアジアでは有名になったが、東京モーターショーは

フランクフルト(ドイツ)、パリサロン(フランス)、ジュネーブ(スイス)、デトロイト

(アメリカ)とならぶ、世界5大モーターショーの一つに

数えられる由緒ある国際モーターショーだ。

今大会のテーマは、「きっと、あなたのココロが走り出す。」”Your heart will race.”

「TECHNOLOGY x FANTASY」がコンセプトになっている。

あなたは、この東京モーターショー、一度でも見に行ったことがあるだろうか?

最近は「東京ゲームショウ」がメチャメチャ混雑して、盛況な様子がメディアを通して

伝えらえているが、先週末に幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ 2015」の

総来場者数が4日間で約27万人。(プレスデイを含む)

最も混雑した20日(日)の来場者数が112,230人。

一方で東京モーターショーは、直近の2013年にビックサイトで行われた第43回ショーでは、

10日間で90万2800人。

こちらの最も混雑した日は、一般公開日の初日にあたる11月23日(土)勤労感謝の日の135,800人。

どっこい集客数では負けていないのだ。

クルマは何個の部品で出来ているか知っていますか?

「おいおい、ゲームとクルマで比較するなよ」と言われそうだが、「クルマ」には、思い入れがあるし、

なんだかんだ言って日本の基幹産業だけについつい力が入ってしまうのだ。

なんせ1台あたり大小約30,000個の部品が使われて製品を構成している耐久消費財はざらにはない。
(スマホで約1,000個)

つまりその部品を供給するために、たくさんの会社が生産に関わり、さらには流通から運搬などまで

含めると、クルマと関係する仕事に携わる人はさらに増える。

日本自動車工業会によれば、現在の日本の労働人口6,311万人のうち、自動車関連の仕事で

働いている人は547万人。

これは全体の実に9%にあたる。

私は愛知県に住んでいるのでトヨタや三菱といったメーカーから、日本電装やAISINといった

部品関連の大手、そしてその大手に部品を供給する中小企業で働く人が大勢いる。

私の父もクルマ関連の会社に勤めてたし、親戚はトヨタに特殊な部品を成形して納品する金型工場を

経営している。

友人にもクルマ関連の仕事をしている連中はたくさんいて、またそのクルマ関係の会社にサービスや

商品を収めるシステムエンジニアや部品商の営業マンをやってるヤツもいる。

とにかく何かしらクルマと関係する仕事に携わっているのだ。

クルマメーカーが頭、大手の部品メーカーが主要臓器、そして中小、零細企業が腕や足を構成する

細胞のようなイメージの地域だ。

そんな有機体構成だから、クルマの大手(特にトヨタ)がクシャミをすると、あっという間に

その悪寒が末端の工場まで伝わってくるのだ。

なぜリーマンショックが渋滞を解消したか?

特にリーマンショックの時はひどかった。

先の親戚の金型工場は、私の自宅から見えるくらい近いところにあるのだけれど、いつも夜遅くまで

電気が点いていた。

ところが、リーマンが破綻して株価が暴落し、結構早いタイミングでその影響がではじめた。

3ヶ月もしないうちに、工場の電気が夜遅くまで付いていることはなくなった。

トヨタが生産調整に入って、たしか週休4日くらいになった時期があったと思う。

この時は、いつも通勤時間には慢性的に渋滞していた道が、信じられないくらいにスイスイ走れたのだ。

本当に「みんなどこに行っちゃったの?」と思うくらい不気味なほどに…

連鎖反応、波及効果とは「諸刃の剣」である。

いい時にはいいが、悪い時にも一気に波が押し寄せてくる。

東京モーターショーにも、その数字は如実に表れている。

開催日数が違うので単純な比較はできないけど、2007年(リーマンショック前)の第40回の時には

入場者数が142万人あったのが、2009年(リーマンショック後)の第41回のショーでは、入場者数

61万人と激減。

出品メーカー数/出品車数も241社/542台から122社/261台へとほぼ半分の規模になってしまった。

とくに海外の主要メーカーがほとんど不参加になり、クルマ業界にはとにかく重苦しい空気が流れていた。

「エコカー減税」という麻薬

そして、ここで官民一体となって一大キャンペーンが打たれた。

「エコカー減税」だ。

売る側も、買う側もこの「エコ」の大合唱の元、みんな一斉にこれに乗っかった。

急激にエコカーと呼ばれるモデルのラインナップが各社充実した。

そして、確かにリーマンショックの痛みを忘れさせるほどに、外傷は癒えたかに見えた。

しかし、このカンフル剤を大量に投与したせいで、体内にある変化を生じさせた。

前からブログで何回も言ってきたことだが、「エコ」という言葉は一見ポジティブなコトバの

ように見えて、実はそうではない。

「エコ」と聞いて、果たしてどれほどの人が本気で地球環境のことを考え、

「温暖化防止のために貢献しなきゃ!」

なんて思ったかだ。

「人は感情でモノを買い、理屈でそれを正当化させる」というようにできている。

つまり「エコ」は、あくまでも自分がそのクルマを買ったことを正当化するために後からつける理屈だ。

買う理由として真っ先に感じたことは「燃費がいい→コストがかからない→余計な出費が抑えられて

家計が助かる」という感情に訴えたからだ。

営業マンのみなさんも、当然、お客さんへのベネフィットの提案は、そこがポイントになっていたはずだ。

人間は、「快楽を求める」欲求と「ストレスから逃れる」欲求の2つの欲求によって動機つけられている。

「エコ」は、後者の「コストがかかる」というストレスから逃れるための欲求を刺激したモノだ。

ここに、追い討ちをかけるように「減税」とやったから、さらに購入時のコストも抑えられると感じた

お客さんが反応しまくった、という結果がついてきた。

短期的なマーケティングとしては大成功だったわけだ。

麻薬によって引き起こされた体質の変化

では、「体内に起きたある変化」とは何か?

それは、人々はすっかりクルマを「コスト」と考えるようになってしまったということだ。

生活になくては困るが(都心ではこの考え方すら薄れている)、できるだけ出費は避けたい。

最近は軽自動車ばかりが売れている理由はズバリここにある。

誰もが「クルマ=コスト」になってしまっているのだ。

だからなるべくコストのかからない軽自動車を買うのである。

軽なら初期投資も維持費も普通車と比較したら随分安い。

しかし長期的に見た場合、このマーケティングの手法、つまり「ストレスから逃れる」欲求を

刺激するやり方は、上手くいかなくなることが多い。

なぜなら、現状に満足してしまうと、動機付けが難しくなるからだ。

つまり「ストレスから逃れられた」ら、それで用が足されたことになる。

でも、「快楽を求める」欲求には伸び代がたくさんある。

だから長期的なマーケティングには、「快楽」を刺激するメッセージを発しなければならない。

ただ、「ストレスから逃れる」を刺激するマーケティングは、はっきり言って売りやすい。

しかもお客さんにとって緊急性が高いので、短期的に売り上げを作れる。

けれども、これをやりすぎると顧客のマインドも売り手のマインドもそれに洗脳されてしまいやすい。

特に売り手側はまるで痛み止めの注射を何度も打ち続けるように、依存症になってしまう。

そしていざ、戦略を変えようとすると「何だ?この前まではダメダメ言ってたのに、今度はこれがイイって?」

と矛盾が生じてしまう。

クルマの快楽とは?

今、クルマに求めたいもの、そして目指して欲しいものは、「快楽の追求」だ。

今度の東京モーターショーのテーマ「きっと、あなたのココロが走り出す。」”Your heart will race”

は本当にココロを快楽の方向に向かわせてくれるかどうか注目している。

さまざまな「快楽」の提案を期待したい。

営業マンのみなさんは、是非会場に足を運んで欲しい。

ライバルをリサーチする勉強にもなるし、あなたの取り扱うブランドが何をリリースするのか、

どんな未来を描こうとしているかがとても良くわかるはずだ。

それを誇らしく感じたなら、あなたの営業パフォーマンスは確実に1段高い位置に上る。

そして、感じた内容をお客さんに伝えてあげよう。

まだ間に合うなら、上得意さんとツアーを計画してもいいだろう。

お客さんにプレミア感を感じてもらえるだろうし、次のクルマの提案につながる可能性は高い。

お祭りの時は、お客さんの気持ちも自然と高まるので、商談を進めやすくなる。

お客さんに「夢」を見せてあげれるように、あなたが最大限の演出をしてあげよう。

この2年に1度の日本最大のクルマの祭典を十二分にあなたの営業に役立てない手はない。

実体験はどんな小手先のテクニックよりも説得力を持つのだ。

さあ、クルマの素晴らしい未来を語ろうではないか!

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