世界の名探偵

あなたは推理小説を読むことはお好きだろうか?

不可解な殺人事件の全容が、徐々に暴かれてゆく。

複数現れる登場人物の複雑に絡み合う相関関係を考えながら犯人を探していく。

「この人、怪しいんじゃない?」

「あれ?こっちの人が犯人?」

「まさか?そういう展開になるの?」

作者は巧みなコトバを使って読み手の思考の裏をかいくぐり、物語を盛り上げてゆく。

ストーリーの面白さに加えて、最後のネタバレで自分の想像していた犯人が一致した場合は

ちょっと嬉しい気持ちになったりする。

たいていの推理小説には、名探偵と呼ばれる主人公がいる。

世界で最も有名な探偵といえば、「アーサー・コナン・ドイル」が描いた

「シャーロック・ホームズ」だ。

天才的な観察力と推理力で、難解な事件を次々と解決してゆく。

最近もイギリスBBCで製作された現代版「SHERLOCK(シャーロック)」が日本でも人気を博して

いたのは記憶に新しい。

初めて会った人を一目見ただけで、その人の性格や行動パターンを一瞬で見抜くさまは、ある意味、

狂気的な鋭さがある。

スマホやインターネットを駆使したハイテックな情報収集、管理のしかたが現代的でビジネス的だ。

他にも「オリエント急行の殺人事件」などの名作で知られる「アガサ・クリスティ」が生み出した

名探偵「ポアロ」や、アメリカの人気TV映画シリーズになったロサンゼルス市警の「刑事コロンボ」。

日本では江戸川乱歩の「明智小五郎」や横溝正史の「金田一耕助」らが有名だ。

いずれの名探偵も現場に残された僅かな遺留品や痕跡、遺体の状態や被害者を軸にした人間関係を

元に想像の翼を広げてゆく。

そしてその複雑な状況の中から1つの仮説を立て、その仮説を支える証拠やアリバイを探してゆくのだ。

スパイの方法

このプロセスは営業マンの仕事に相通ずるものがあると思わないだろうか?

1組のお客さんがショールームへ来店されたとする。

クルマ屋に来るほとんどのお客さんが現在乗っているクルマで来店されるはずだ。

この時点で既にお客さんの情報が少なからず入ってくる。

今、どんなクルマに乗っているかは、最初のお客さんのインフォメーションだ。

ノーマルな状態で乗っているのか、少し手が入れてあったりするのかで、お客さんのクルマに対する

こだわり具合が見えてくる。

例えばホイールが純正品ではないモノを履いているようであれば、クルマのドレスアップに興味の

あるお客さんだ。

ナンバープレートも希望ナンバーで取得した、何かメッセージ性のあるものかどうかを判断する材料に

なったりする。

「1」というナンバープレートなんかを付けている人は自己顕示欲が強い人だとか、「777」とか

であれば、ゲン担ぎを気にする人だとか、「1988」や「615」などのように、何か記念日的なものを

想像できる番号の場合は、人との関係を大事にする人なのかな、とか色んな想像ができる。

駐車場にクルマを停める時のクルマの取り扱いの仕方でも、ある程度そのお客さんの性格や傾向を

掴むこともできるだろう。

クルマの窓からワンコが顔を覗かせていたら、犬好きのお客さんであることは間違いないし、

もしかしたら子供さんのいないご夫婦の可能性もある。

少なくとも乗ってこられたクルマのブランド、何代目の何というモデルか、ボディーカラー、ノーマル

との変更点くらいはメモしておこう。

別のスタッフにおよその下取り額の相場を調べてもらえば、それを頭に入れて商談を進めることも

可能になる。

このような情報は、商談に入る前の導入部分で会話のきっかけで使えることも多い。

「カッコいいホイールつけていらっしゃいますね? BBS? それともOZですか?」とか、

「ちょっと気になったんですけど、このナンバーって何かの記念日ですか?」とか、

「かわいいワンちゃんですね〜?お出かけはいつも3人で?」

なんて感じで聞いてあげると、話がつなぎやすい。

3つめの質問はワンちゃんと夫婦を入れて「3人」と人数で表現したところがポイントだ。

というのも子供がいれば、「いや、いつもは子供と5人だね。最近はなかなかついてこないけど…」

なんていうコトバが返ってくることもある。

「最近はなかなかついてこない…」ってことは、子供はもう高校生か大学生の可能性が高い。

このあたりの情報もメモしておこう。

もしかすると将来の見込み客になるかもしれない。

逆に、ご夫婦だけの様子であれば、子供の話題は極力避けて話を進めたほうが良かったりもする。

商談中は色んなことを喋ってくれるお客さんもいれば、ポツッ、ポツッと必要なこと以外は喋らない

お客さんも多い。

いずれにしても、商談中に得られた情報は、忘れないうちに「見込み客ノート」へメモをのこして

おこう。

身につけていた服装やカラーなどもメモしておくと、あとで振り返った時に映像として思い出しやすく

もなる。

特に名前と顔を一致させておくことが大切だ。

銀座のクラブには、一度でも来店されたことがあるお客さんなら、絶対に名前を覚えていてくれるママ

さんがいると聞く。

次にお店に行った時に、自分の名前を覚えていてくれたらさぞ嬉しいことだろう。

営業マンや他のスタッフも是非実践してみてほしい。

あなたと、お店の価値観がグッとあがること請け合いだ。

また、お客さんの身につけているアクセサリー類には、特にその人の好みが反映されやすい。

時計、バッグ、靴のブランドあたりはチェックしておくといい。

そのあたりのアクセサリーのいくつかの人気ブランドのことを雑学的に勉強しておくと、商談の時に

話のネタとして意外と役立つ。

商談をスムーズに進めるための潤滑油のような役割を果たしてくれるのだ。

また、どんな仕事をしているのかも何か話の流れで聞いてみよう。

お客さんが何か専門用語的なコトバを発した時に「へぇー、そういう関係の仕事をしていらっしゃる

んですか?」とこちらがあえて振ってみる。

そうするとお客さんが職業をたいていの場合教えてくれる。

それが自営なのか、会社員なのかも聞き出せれば、それも「見込み客ノート」に漏れなく書きこもう。

次に電話でアプローチする時に、つながりやすそうな時間を推測することができるようになる。

お医者さんなら、開業医か勤務医かでもアプローチの仕方が変わってくる。

私は、「買い替えの時期」、とか「予算」ということに関してはほとんど聞いたことがない。

「買い替え時期」については、基本は「即決」狙いであり、「予算」は、商談の中でほとんど察しが

つくからだ。

「1年後の予定だ」と最初は言っていた人が、その場で決めてくれたこともあれば、当初のお客さんの

予算の予定額を大幅に超える成約をいただいたケースも数え切れないほど経験している。

「おかしいなぁ、家を出るときは買うつもりなんてまったくなかったのに…」なんていう事も

しばしばあった。

ただし、風水をやっている人や、家の完成と同時にクルマを買い替えるつもりだが、それが10ヶ月先

とかいう人は、成約を前倒しすることは難しかったりもする。

そんなお客さんについては、浮気されないように最低月に1度はハガキやレターを送ったり、月に2回

くらいは電話でコンタクトをとるようにしよう。

それ以外にも、週末の過ごし方や、色の好み、趣味、物事に対する信念や思い込み、あるいは何かに

先入観があるなどがチェック項目だ。

お客さんが解決したいものとは?

当たり前だが、クルマに関して聞いておくべきことは…

①今乗っているクルマの何が不満で買い替えが必要になったのか?
②今、最も優先すべき、すぐにでも解決したいことは何か?
③どんな状態になったら最高か?
④比較検討しているモデルは何か?
⑤その比較検討しているモデルのどこを気にっているのか?どこが気に入らないのか?

ここらあたりを押さえておくと、次の話の提案がしやすくなるだろう。

営業という仕事は「こうすれば必ず成功する」というものではない。

しかし、お客さんの情報を収集すればするほど、相手の心に響く提案ができるようになる。

営業マンは、いい意味でお客さんのスパイにならないといけない。

その情報収集能力と観察力、推理力がお客さんの心を射止めるための大いなる源となる。

あなたが名探偵になれるかどうかは、そんなお客さん情報の量と質で決まるのだ。

シャーロック・ホームズを目指して、是非、お客さんの情報を集めよう。

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