当たり前のようにそこにある窓越しに見える風景…

あなたが今いるその場所から、窓越しに何が見えますか?

海や、山や、豊かな自然が見える環境にあるのなら、それはとてもうらやましいですね。

でも多くの人の目に映し出される窓越しの風景には、道路を行き交うクルマの流れであったり、

駐車場に停めてあるクルマなんかが、その一角に含まれていたりします。

一歩外に出れば、そこらじゅうにクルマ、クルマ、クルマ、そしてそのクルマが走るための

道路、道路、道路… 停めるための駐車場、駐車場、駐車場…

街に占める道路の面積とそのクルマを置く駐車場のスペースは半端なものではありません。

これだけのスペースを割いておきながらも、最近ではどんな田舎町でも慢性的な渋滞が発生して

イライラする機会が多いですよね。

若者の「クルマ離れ」促進キャンペーン

そしてクルマを持っていれば必ず必要となる毎月の「ガソリン代」、毎年「今年もきたね〜」と

ブツブツ言いながらも当たり前のように支払っている「自動車税」と「自動車保険」。

2年に1回クルマ屋から送られてくる「車検」のハガキ、そして車検時に支払う「重量税」、

「自賠責保険」。

月極駐車場にクルマを停めているいる人なら、さらに毎月の駐車場の賃貸料が必要になり、クルマ

を買い替える時にはリサイクル料金や、まさに二重課税の最たる取得税と多額の消費税が必要と

なります。

クルマ1台を購入したり、所有するのにこれだけのランニングコストが掛かるのであれば、

正規雇用がどんどん減少して収入の先行きに不安を感じている若者が、クルマの購入をハナから

あきらめてしまうのも無理ないなあ、と思ってしまいますよね。

こんな税金まみれ、コスト地獄のような状況は、あえて「クルマ離れ」を制度として作っている

ようなものです。

夢破れて負担あり?

かつてクルマを所有することは、大きなステータスであり、自由に楽しく見知らぬ場所へ連れて

行ってくれる夢の乗り物でした。

ところが1台あたり約30,000点の部品を使用し、多くの資源と多額の流通コストを掛けて

作られているクルマが1日のうちで使われる時間は、人によって差はありますが、通勤や人の

送り迎えなどのわずかな時間にすぎません。

ご主人様がお戻りになるまで、その大半を駐車場でじっと待って過ごしています。

今や街に溢れかえる過剰とも言うべきクルマの数とそれを取り巻く交通インフラは、むしろ

社会的な負担となってしまっているのかもしれません。

ITの巨人が見据えるもの…それは、

実は、そこに着目している企業があります。

「Google」です。

「グーグル」は現在急ピッチで開発を進めている自動運転車「グーグルカー」によって、この

社会的負担を軽減させようとしています。

どういうことかというと、クルマの完全自動運転が実現すると、好きな時にスマホなどの端末を

使ってクルマを呼び、目的地に着いたらクルマを乗り捨てることが出来るようになります。

クルマには「所有するステータス」や、「運転する楽しみ」という付加価値はあるものの、その

主たる目的は「移動」です。

なので、「移動」という目的がクルマを所有しなくても得られるようになります。

自動運転はクルマを「所有」する時代から「利用」する時代に変化させて行く可能性を秘めて

いるのです。

移動は「無料」の時代がやってくる?

おそらくグーグルのことですから、このサービスをGmailや音楽ストリーミングのように

「無料」で提供したり、あるいは安い定額制の料金で利用可能にすることでしょう。

「移動」にほとんどコストが掛からなくなってくると、クルマは「無人で無料」のパーソナル

バスやパーソナルタクシーのような存在となります。

クルマは移動するための商品と考えている消費者にとっては、よほどの理由が無い限りクルマ

を「所有」するという価値が失われていきます。

クルマを利用者間でシェアするようになれば、クルマの数が減り、渋滞の緩和や環境問題の

解決にも寄与することができる、というわけです。

もちろん、人間が運転するという不安定さが排除され、コンピューター制御によるクルマの

操作が、交通事故を劇的に減らしてくれることでしょう。

クルマ自体は携帯のように端末化され、「移動」を利用した新たなビジネスを構築するための

ツールとなって行くのかもしれません。

これは、クルマを大量生産、大量販売して効率化を図り、人々の生活を豊かにしようとする

これまでの自動車メーカーのやり方と全く逆の発想となるアプローチと言えます。

なぜならグーグルは、クルマの数を減らすことによって効率化を図ろうとしているからです。

マーケットインとプロダクトアウト

顧客の欲しているもの、あるいはイライラから逃れたいという欲求を満たすために、相手が

「欲しがる」商品やサービスを開発することを「マーケット・イン」と言います。

一方で、企業の多くは自分が「やりたい」商品やサービスを開発してから、そのメリットを

訴求して行く「プロダクト・アウト」という手法をとります。

「こんなにいいモノ作ったから、売れるだろう」という考え方に基づいたビジネスの方法です。

この場合、前者がグーグルで後者が自動車メーカーと言えるでしょう。

グーグルはサービスを提供する顧客の群れを獲得して、それを新たなビジネスに繋げて行く

ことが主な目的なので、クルマを量産、量販することを重要視していません。

一方で自動車メーカーはクルマをたくさん作って、たくさん売ることが主な目的なので、

この両者の思考の出発点がそもそもまるっきり違うのです。

最終的にはお客さんがどちらを選ぶかにかかってきますが、運転に興味もなく、クルマを

ある種の調度品のように見立てた価値やステータス性にも興味の無い人、つまり早く、安く、

楽に「移動」という目的が達成できれさえすればよし、とする人達にとってこのサービスの

提供は魅力的でしょう。

まるで自家用車のように自由に使える上に、「移動」のコストがほとんどかからず、しかも

ガソリン代、自動車税、保険料、車検代等々の諸費用から解き放たれます。

今後クルマを買うために何百万円も出費する必要すらなくなるのです。

でも、もしこんなことになってしまったら、日本経済を支えてきた自動車産業はどうなって

しまうのでしょうか?

こんなことが、果たして起こりうるのでしょうか?

クルマ屋は、営業マンはただ手をこまねいているだけでいいのでしょうか?

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