東京モーターショーは紅白歌合戦?

東京モーターショーが閉会して、すでに1週間が過ぎました。

東京モーターショー 閉会

東京モーターショー2015

入場者数が前回開催時より1割減った、とか「目玉がない」とかネガティブな報道がいろいろされていますね。

でも私は個人的に楽しめましたし、いろいろな収穫もありました。

どれが正しいのか分からないほどに情報が溢れ、趣向が多様化している現代です。

ひとつの分野に大勢の目が向けられ続けるということも無くなっていくのは当然でしょう。

マーケティングもどんどんセグメント化する戦略ですしね。

ま、紅白歌合戦の「目玉がない」、とか視聴率がどれだけ落ちたというような報道に似てます。

見る側も、見せる側も早く過去の成功体験から抜け出して、新しい感性を育むことが必要でしょう。

過去の武勇伝を聞かされたところで、「へぇー、そうなんだ…」で終わるのがオチですから。

過去の歴史を勉強することは大切ですが、興味があるのは「現在」と「未来」です。

私に「何を約束してくれるの?」を知りたいのです。

メーテルの住む世界

私自身も今回のモーターショーでは、グーグルなどITの世界企業や世界の自動車メーカー、そして政府までをも巻き込んだテーマ「自動運転」の今を見ることが目的でした。

実際に試乗車に乗り、カンファレンスにも出席し、大いなる可能性を感じました。

ふと小学生の頃にみた「銀河鉄道999」のメトロポリスの未来の摩天楼を思い出しました。

そこにはビルとビルの間をぬうように走る透明なパイプ状の立体道路があって、タイヤの無い

モビリティがスイスイと行き交っています。

クルマが無人で走ってきて、ドアが勝手に開いて、そして乗り込むと、勝手に目的地に届けてくれる。

そんな時代への第1歩が始まったのかもしれません。

モーターショー会場に設けられた「Smart Mobility City」という近未来の自動車を取り巻く世界観。

それは久しぶりにクルマを通じてライフスタイルにまで変革を及ぼす時代がやってくるという期待に溢れたものでした。

(正直言って、燃料が電池になるとか水素になるとかなんて興味わかないんですよね〜。それ変わってもなんか自分の生活スタイル変わらない気がするし…)

もしスタバがクルマを作ったら…

ただ、これは「運転という作業がなくなるから、何か他のことができるかも」という期待感であって、クルマが介在しているのだけれど、何かクルマの影が薄くなってしまった感想をもったことも否めません。

いわばスマホのように、スマホそのもののハードウェアに興味があるのではなく、そこにあるソフトを使っての効用に皆の期待が集まったのと似ています。

もちろん、スマホの端末にも各ブランドの個性があります。

だから、今後はクルマのメーカーもグーグルやアップルのように単一分野にとどまらないブランド価値を創出していく必要があるでしょう。

スタバが自動運転の「スターバッカー」なんて売り出したらけっこう売れたりするかもしれません。

自動車メーカーは、そういった有名ブランドに車両を提供して、ラルフローレンカーとかブルガリカー、ユニクロカーなんていうモデルができても楽しいですよね。

ただし、クルマ好きの私にとっては、クルマがどんどん端末化されて行ってしまうことには、ちょっと寂しさを感じているところです。

でもこの流れは、もはや誰にも止められることはできません。

でもクルマのモノとしての魅力、ハードウェアとしての価値、運転することの楽しさは無くなってしまうのでしょうか?

スポーツカーが無くならない理由…

私は無くならないと思います。

今回のモーターショーでも、黒山の人だかりができいていたのはスポーツカーの周りでした。

これは、昔も今も変わりません。

RX Vision

Mazda RX Vision

マツダが参考出品としてですが、ブースのメインステージに登場させたのは、久々のロータリーエンジンを搭載した「RX- Vision」。

そこには人がたちぎれることなく、常にたくさんの老若男女が群がっていました。

そして、まるでアカデミーの授賞式のようにフラッシュライトを浴びていました。

暗闇の中に、深紅の薔薇が咲いたように佇むそのボディーは、メチャメチャ官能的です。

ロングノーズ、ショートデッキの永遠の黄金律を持つスタイル。

女性の柔らかでセクシーなボデイーラインを想像させる大きく張り出したフェンダー。

そしてコンパクトなロータリーエンジンだからこそ実現可能な低く構えたノーズ。

伸びやかなサイドラインに破綻無く溶け込む前後のホイールアーチの造形バランスなどなど見どころ満載です。

あえてコンパニオンを傍らに立たせなかったのは大正解だと思いました。

もう、この主役の女優1人だけで他には何も要らない… そんな舞台でした。

「スゲー!」「カッコいい!」そんなコトバをたくさん聞きました。

やはりいつの時代も、カッコイイものはかっこいいし、美しいものは美しいのです。

理屈では無いのです。

どれだけ「自動運転」のように尽くしてくれる人がいたとしても、絶世の美女が目の前に現れると、男はノックアウトされてしまうのです。(ごめんなさい…)

温故知新…

「RX-Vision」の舞台の奥には、ロータリーエンジンを搭載した初代「マツダ・コスモスポーツ」

コスモスポーツ

マツダ コスモスポーツ

が展示されていました。

私とほぼ同級生ですが、かたや髪も薄くなって衰えを隠せないおっさんに対し、コスモは今見ても斬新で色褪せないスタイル、いや、むしろ若々くて未来的です。

「帰ってきたウルトラマン」の地球防衛チームのクルマとして登場していましたが、まさか市販モデルだなんて思ってテレビを見ていませんでした。

苦闘の末に完成させたマツダ渾身のロータリーエンジンをのせたこのスポーツカーも永遠の輝きを放ち続ける魅力を湛えています。

コスモスポーツ 内装 インパネ

コスモスポーツ インパネ

アナログ感溢れる計器類に、ウッドの華奢なステアリングホイール、細身のクローム仕立てのピラー1本にもエンジニアやデザイナーのこだわりを感じます。

ここまでくると、もはや芸術/アートの領域と言っても過言ではありません。

とにかくカッコイイのです。

スポーツカーとはかくあるべきだと思います。

そのブランドを象徴するアート、「製品」ではなく「作品」であって欲しいのです。

大人が理解すべきこと…「若い人のほうが感性は鋭い」

HondaのNew「NSX」にも、Nissanの「CONCEPT 2020 VISION GRAN TURISM」にも

NSX

Honda NSX

例外なく人だかりが出来ていました。
(今回スパースポーツ系はレッドが多かった)

会場には学生服をきた10代の子たちもいましたが、たまたま隣に居合わせた学生さんが「スゲー、めっちゃカッコええ! これ乗りてー!」と叫んでいました。

10代の時の体験は、生涯忘れることは無いですし、その体験が人生の目標になることもしばしばあります。

 

クルマメーカーの皆さん、もっともっと感情にガ

Nissann Concept

Nissan Concept 2020 Vision Gran Turism

ンガン訴えてくるクルマを出してください。

人間は理屈ではなく、感情に突き動かされて買い物をするのです。

感情に押されて行動を起こすのです。

ラグビーワールドカップを見て「カッコいい!」と思ったからラグビーに興味を持ったのです。

五郎丸選手を見てみたいと思って競技場へ行くのです。

難しい理屈で相手を説得しようとしても眠くなるだけです。

クルマの営業マンよ、スポーツカーに乗ろう!

クルマの営業マンのあなたは、なぜクルマの営業をやろうと思ったのでしょうか?

少なからず「クルマに興味があったから」ですよね?

こんなクルマで彼女とドライブに行きたいなと思ったことはないですか?

とびっきりのオシャレをして、楽しいお喋りをして、素敵なBGMを聴きながら、カッコ良くキメたい…そんな妄想をしたことはありませんか?

みんな感情で動いているのです。

カッコいいスポーツカーは、そんな感情をもっとも刺激してくれるクルマです。

エキゾチックでセクシーなフェラーリのようなブランドもあれば、生真面目で物凄い実力派のポルシェ、機敏な身体能力の高さに長けたロータスというようなブランドもあります。

どれもそのブランドならではの魅力があります。

そしてどのブランドにも、その主張をガンガン感情に訴えかけてくる独自のカッコよさを持っています。

あなたも、ぜひスポーツカーに乗ってみてください。

それを所有することでどんな感情が芽生えるのか、なぜ人はスポーツカーに今だに熱狂するのか、その理由が分かってきます。

いや、「分かる」というより「感じる」と言った方が正解でしょう。

そうすれば、お客さんの感情も感じ取ることができるはずです。

今、時代が「所有」から「利用」へ移ろうとしています。

クルマを単に移動のためのコストと考えている人は、どんどん「利用」の方向へ流れていってしまうかもしれません。

でも営業マンはクルマをお客さんに「所有」してもらうために販売活動をしているわけです。

それであれば、所有することにステータスや、喜びや、幸せを感じるお客さんを育てて行くこともクルマを販売する営業マンの大切なお仕事だと思います。

そしてそれを感情で訴えてくれるクルマがスポーツカーなのです。

あなただって素敵な彼女は「所有」したいですよね?

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